予防歯科とは、むし歯になってから治療するのではなく「痛くなる前に予防する」という考え方です。そのためには、歯科医院でのプロフェッショナルケアと、自宅で行うセルフケアが大切です。
セルフケアだけでは、歯垢や歯石を完全に取り除くことができません。歯科医院で、定期的にPMTCや口腔内診査などの検診を受けていただき、むし歯や歯周病にならない健康な歯を維持していきましょう。
フッ素とキシリトールを積極的に利用しましょう!
フッ素がむし歯予防になる理由
フッ素は歯の表面を覆うエナメル質の結晶性を向上させ酸に強い歯を作ります。また失われたミネラルを速やかに回復させ再石灰化を促進します。さらにむし歯が出す酵素作用を抑制し酸の産生を抑制します。
フッ素の応用方法
日本では歯面塗布、歯磨剤、洗口の局所的な応用が中心となっています。海外では水道水(ウォーター・フロリデーション)、錠剤、食塩などに添加され全身的に応用もされています。
歯科医院で行うフッ素塗布と歯磨き粉のフッ素との違い
一般的に市販されている歯磨き粉はフッ素濃度1450ppm(6歳未満は1000ppm以下)です。低濃度フッ化物はエナメル質に吸着してフルオロキシアパタイトを生成します。一方、歯科医院で使用するフッ素は9000ppmと高濃度です。高濃度フッ化物はフッ化カルシウムを生成し、少しずつフッ化物を放出して低濃度フッ化物と同じように働きます。つまり効果に持続性があります。両方を併用することが効果的です。
キシリトールがむし歯予防になる理由
キシリトールとは天然の代用甘味料です。砂糖との大きな違いはむし歯菌が代謝できないため、むし歯の原因になりません。また甘みにより唾液の分泌が促進されるため、むし歯の進行を防ぎます。さらにむし歯菌を弱める働きや歯垢を剥がしやすくする働きがあります。このような働きをする代用甘味料はキシリトールだけです。
キシリトールの応用方法
高濃度キシリトール配合食品を1日3回、3カ月以上続ける必要があります。摂取するタイミングは食事後や歯磨き後がおすすめです。お子さまには間食や歯磨きのご褒美としてあげると良いでしょう。キシリトールは歯磨き後に食べても良い唯一の食品です。
お子さまへのむし歯菌感染予防に保護者のキシリトール摂取が効果的です
むし歯菌は唾液を介して大人から子供に感染します。特に歯の生え始め(生後7ヶ月頃)から3歳までの間は「感染の窓」といわれており、大人の食べかけのものを与えたり、食事をフーフー冷ましたりすることは控えることが望まれます。むし歯菌の感染を予防するためには、赤ちゃんと接触回数の多い大人は、歯が生える少なくとも3カ月前からキシリトールを積極的に摂取し、むし歯菌を減らしておくことが推奨されています。